盲導犬とALS患者


ここからさらに、話は続く。

岡さんは、これを事業化したいと言い出した。

盲導犬を待っている人は多い。盲導犬の育成には時間がかかるし、訓練士は高齢化が進み、今後は先細りが見えている。ALS患者の紫君も働けた方が嬉しいだろう?・・・などとまくしたてた。

僕はやるとは言ってないのに、岡さんは、どんどん話を進めた。

■仕組み

・目の不自由な人を募る

・ALS患者をはじめ、体が動けない/動きにくいが働きたい人を募る

・予約システムで予約する(オンライン英会話の先生と生徒の予約システムのイメージ)

・時間になったら相互でテレビ電話で通話開始

・報酬支払い

■課題

・そもそも目の不自由な人で盲導犬を待っている人がいるのか?

・もしいるなら何人くらいなのか?

体が動けない/動きにくいが、働きたい人はいるのか?

もしいるなら何人くらいなのか?

・体が動けない/動きにくいが、働きたい人にも程度がある。確認するステップが必要。

・予約システムは流用できるのか?どのように確認するのか?

・テレビ電話では、通話料金が高くて利益を出せないのではないか?

・テレビ電話に代わるシステムはないか?

・料金をいくらにするか?

岡さんの話は尽きない。僕からも意見した。

「もし本当にやるなら、できるだけ近所の方がいいですよね。道案内しやすいですし」

しかし、岡さんからは思いがけない言葉が返ってきた。

「それはわしらを馬鹿にしすぎじゃないかな?ワシはベスに道案内をお願いしていたわけじゃない。もともと、場所はわかっている。いわば、心の中に地図を書いて持っているようなものだ。しかしそこには書いていない、信号機の色や、歩道の真ん中に停めてある自転車のようなものをベスに教えてもらっていた。今回の事業化の内容もそれと同様だよ」

なるほど、心の地図か。

カーナビのような感じで考えていたので、コンセプト自体をはきちがえていたようだ。

日も暮れてきたので一旦お開きにした。